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LV THE BOOK

FRAGRANCE REVERIES

ルイ・ヴィトンのMaître Parfumeur(インハウス・マスター・パフューマー)が7種の新作フレグランスのクリエーションについて振り返ります。それは、詩情溢れる旅路──心の奥に秘められた官能的で、魅惑的な冒険です。

Photographer: Stephen Lewis

  • 760_LVNOW_FRAGRANCE_REVERIES_DI3.jpg/ルイ・ヴィトン

ROSE DES VENTS(ローズ・デ・ヴァン)

「夏のそよ風に吹かれて、ほのかなローズの香りと彼女が纏うパフュームが溶け合う」──ポール・ヴェルレーヌ

FRAGRANCE REVERIES - LV NOW/ルイ・ヴィトン

「ローズはすべてを持ち合わせています。力強さ、粋さ、儚さ、虚飾、激しさ、甘美さ、魅惑・・・。ローズセンティフォリアはグラースで栽培されています。ムスクがこのローズに一風変わった個性を与え、ミドルノートとベースノートで香りを放ちます。このユニークな花には、ハチミツやミツロウの香りも潜んでいます。数種のローズが調和する叙情的な香りの中に隠れている花は、ピオニーです。ピオニーは、アニマル・ノートを感じさせるローズのような香り。スズランに近い心地良い香りです。ピオニーがその魅力を存分に発揮するには、ローズが必要です。ローズは、ピオニーの驚くべきみずみずしさを引き立たせます。このフレグランスは、バージニア産シダーウッドとフィレンツェ産アイリスのウッディな趣の中で香り立ち、ローズが奏でるメロディーの骨格となり、肌に纏った時にピオニーの香りを感じさせます」

TURBULENCES(タービュランス)

「夢想には、香りの神秘と繊細さが宿っている。思考にとっての夢想は、チューベローズ(月下香)にとっての香水のようなもの。夢想は時に、危険な思想の広がりになり、漠然としたものが入り込む。」──ヴィクトル・ユーゴー

FRAGRANCE REVERIES - LV NOW/ルイ・ヴィトン

「8月のとある夏の夜、私が暮らすグラース近郊のカプリという小さな村の路上でのこと。私は、不思議な残り香にはっとして、ふと足を止めました。すぐ近くにはチューベローズ(月下香)、そしてジャスミンの花畑がありました。夜の静寂の中で、官能的なざわめきを感じた私は、この崇高な瞬間を香りで表現したいと思いました。ジャスミンは儚そうに見えますが、実はその繊細さは強さになります。私は、ジャスミンの中で最も穏やかで、中国ではジャスミンティーに用いられるジャスミン・サンバックを使用したいと思いました。フレグランスの中で、ジャスミン・サンバックは猫のような賢さも持っています。一方チューベローズは、くらくらするほど陶酔させるような香りの花。マグノリアはチューベローズが求める鮮明さと軽やかさを捧げ、欲望のままに優しい香りを放ちます」

DANS LA PEAU(ダン・ラ・ポー)

「最も深いもの、それは皮膚である」──ポール・ヴァレリー

FRAGRANCE REVERIES - LV NOW/ルイ・ヴィトン

「レザーの官能性を表現する方法とは?さらに、フレグランスでどのように表現するか?それを叶えたのは、これまで創造されなかった感覚を呼び覚ますエッセンス、レザーインフュージョンでした。非常に気高く、花々やムスクが奏で合う独特な香り。たとえばグラース産ジャスミンは、非常に稀少で尊く、ユニークな花です。このカリスマ的なフレグランスは、パワフルでありながら、この上ない優しさを秘めた女性に相応しい香り。肌に纏った時の優しい感触で、このフレグランスの夢幻的な本質を感じられるでしょう」

APOGÉE(アポジェ)

「愛とは人生になくてはならぬもの、それは人生の絶頂」──ジョジュル・サンド

FRAGRANCE REVERIES - LV NOW/ルイ・ヴィトン

「スズランは完全無欠な愛の花、純真さへの永遠の旅。日本人がこの繊細で儚く目立たない小さな花をこよなく愛する理由が、私には分かります。アニマル・ノートと鮮明な清らかさを忠実に、バランス良く表現した類い稀な香りです。洗い立てのリネンのごとく、心安らぐスズランの香りがムスクと調和して、官能の世界へと昇華します」

CONTRE MOI(コントロモワ)

「トーク帽とスカーフを身に着けた彼女が私にもたれかかり、肌で感じるその喜び。愛する者同士が逢うときには、必ずこうやって寄り添うものだと私は思い出した」──マルセル・プルースト

FRAGRANCE REVERIES - LV NOW/ルイ・ヴィトン

「このフレグランスに宿るのは、さまざまなバニラ!ケーキを想わせるタヒチ産バニラの香りが、料理の香り付けにも使われるマダガスカル産バニラによって強調されます。バニラの香りの気高さを引き出そうとすると、レザーのアクセントを帯びて、よりアニマル・ノートに変化します。バニラは、表面的な穏やかさの裏に強さを持ち、それに寄り添う魅力溢れるオレンジブロッサムにおいても同じことが言えます。オレンジブロッサムもまた、人を惹き付ける官能性を秘めています。この香りは複雑ですが、メッセージは明確です。つまりこれは、欲望のままに生き、愛される女性のためのフレグランスなのです」

MATIÈRE NOIRE(マティエール・ノワール)

「今訪れるこの時に、かよわい茎に身を悶え、花々は香炉のように溶けながら、響も薫りも夕べの空にめぐり来る。憂いは尽きぬこの円舞曲眩くような夢心地!」──シャルル・ボードレール

FRAGRANCE REVERIES - LV NOW/ルイ・ヴィトン

「ラオス産のアガーウッドは、非常に貴重な銘木です。大切なものを山積みにしたキャラバンで、インドからインドネシア、バングラデシュからアラビアへと、あらゆる国を横断しました。この木は東洋の香りを象徴しています。古くから伝わるこの稀少なパウダーは、旅を暗示しています。この沈香を、昔の貴婦人たちが香りを纏うために用いていた気高い花、ナルシス(水仙)と組み合わせることで、これまでにないラグジュアリーな香りに仕上げました。ナルシスの少し刺激的で強いグリーン・ノートが、アガーウッドの物憂い香りにエネルギーを吹き込みます。私は忘れ去られたこの香りにオマージュを捧げたいと思いました。花の純真さを遥かに超えた香りに・・・」

MILLE FEUX(ミルフー)

「愛とは心に秘める炎ではない。声、沈黙、眼差し、すべてが心の内を露呈する。そして隠しきれない熱情がますます剥き出しになるのだ」──ジャン・ラシーヌ

FRAGRANCE REVERIES - LV NOW/ルイ・ヴィトン

「ある日、私はパリ郊外のアニエールにあるルイ・ヴィトンのアトリエを訪れた時、レザー職人が真っ赤なレザーを扱っている様子を目にしました。レザーの柔らかさと色鮮やかなラズベリーのような赤のコントラストを香りで表現したいと思いました。このフレグランスには、想像を超える魅力があります。私は中国産オスマンサス(金木犀)を加えました。これは私が調香師の見習いをしていた時に、初めて耳にした名前の1つでした。その名を聞いただけで、夢中になりました。スモーキーな香りを放つこの花は、お茶にも用いられます。そしてこの小さな花を摘み取ると、アプリコットの香りがします。果実の香りと人生の喜びを感じさせます」

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